真が人波に押されるように改札口へ近づくと、「真っ!」と呼ぶ声が聞こえた。
待ち合わせの時間より早く着いたはずなので驚いて声のした方を見ると、全身黒ずくめのアルベルトが笑いながら手を振っていた。
前を歩く女子高生たちが「なに、あの人? モデル?」とか、「ちょーカッコいい!」とか、興奮した面持ちで話しているのが聞こえ、真は手を振り返せなかった。
通り過ぎるサラリーマンのオジさんたちですら目を奪われている美貌のアルベルトが、嬉しそうに手を振って待っている相手が、こんな貧相な男では恥ずかしくて申し訳ない気がした。
真は僅かに頷いて返しただけで、急いで行きたい心とは裏腹にゆっくりした足取りでアルベルトに近づいた。待ちかねた様子で両手を広げたアルベルトの出迎えに、『女の子だったら飛びついちゃうだろうな』と思いながら、真はようやく小さく右手を挙げて消極的に応えた。
「ごめんね。待った?」
「ううん。全然! さっきまで本屋にいたし。葉月を母さんに預けてすぐ出て来たから、久し振りにこの辺をブラブラしてたんだよ」
「そう。葉月くん、今日はご両親の所に泊まるの?」
「うん。そのつもり。だからゆっくり出来るよ」
「本当? じゃあ、行こうか。すぐそこだから」
「うん」
あいさつを交わしている間も、通り過ぎる人々の視線を痛いほど感じて、真は早く駅を離れたかった。先に立って歩くと、足の長いアルベルトはすぐに横へ並んだ。
「これから行くお店って、親戚の人がやってるの?」
アルベルトが窺うような様子で話かけて来た。無口になった自分に気を使っているのだと、真は慌てて明るく返事をした。
「うん。僕とは血の繋がりはないんだけどね。元々は幼馴染みなんだ。年が離れているけど、兄弟がいない僕にとってはお兄さんみたいな人なんだ」
昨日の電話で何が食べたいかと希望を聞くと、「何でも。真の好きな所でいいよ」と言われたので、隣町の親戚の居酒屋へ案内すると話しておいた。
「そこへはよく行くの?」
「う〜ん…僕は飲めないから、たまに行くくらい。大学院の友だちを誘った時とか、相談事がある時とか」
「真はお酒飲めないの?」
「1、2杯くらいは…飲めるよ。でも、すぐ眠くなっちゃうんだ」
「居酒屋さんなんでしょう? 真、大丈夫なの?」
「うん。料理が美味しいから、飲めない人もよく来るよ。ほら、あそこだよ!」
真は小走りで赤提灯の下がる店の前へ行くとアルベルトを振り返り、縄のれんを手で揺らした。
「如何にも居酒屋でしょう?」と笑うと、アルベルトも笑いながら頷いた。
「こんばんは〜」
「いらっしゃ〜い。おお、マコちゃん! 久し振りだね!」
引き戸を開けて挨拶すると、カウンターから顔を上げた店主は真を見て嬉しそうに声をかけた。居酒屋の店主と言うよりも、魚屋の旦那のように捻りはちまきをした威勢のよい男前だ。
真も久し振りと返しながら「今日は二人なんだけど」と言うと、「いつもの席でいいかな?」と奥のカウンター席を指さした。真は頷きながらアルベルトを中へ招き入れた。
店内は長いカウンター席と、掘り炬燵(こたつ)式になった座敷席とに別れていて、座敷は既に客で一杯だった。「盛況だね」とアルベルトが驚いて言った。
「うん。今日はすごく混んでるね。だからって訳じゃないんだけど、テーブル席より落ち着くから、僕はいつもそこに陣取るんだ」
真は店の突き当たりの席へと案内した。L字型をしたカウンターの末席で、座敷席とは細い竹の植木で隔てられていたから、それだけでも少し静かだった。真は話をするには隣り合って座るのが一番だと思っているので、狭さは気にならなかった。
「うん…良い店だね。でも居酒屋さんっていうより、お寿司屋さんみたいだけど」
席に着くとアルベルトは店内を見回して言った。
「うん。ここ、元はお寿司屋さんだったんだ。そこの親方が高齢で店を閉めるって聞いて、秀夫(ひでお)さんが居抜きで買い取ったんだよ。うちの寺の真ん前の仕出し屋さんの長男なんだけど、どうしても自分の店が持ちたいからって、独立して夢を叶えたんだよ」
「へぇ…すごいね」
アルベルトは感心しながら忙しく立ち働く店主の秀夫を眺めていた。女性店員がお絞りを運んで来て、真はウーロン茶を、アルベルトはビールを頼んだ。壁に貼られたお品書きを眺めながら料理は何にしようか迷っていると、カウンターから秀夫がお通しを出しながら「今日は寒いから豆乳鍋がお勧めだよ」と言った。
「豆乳? アル、大丈夫?」
「うん。全然大丈夫。家でも飲んでいるよ」
「そう。じゃあそれと、焼き鳥の盛り合わせと、じゃこのサラダください」
店員が去ると秀夫が興味津々な顔つきでアルベルトを眺めながら、「マコちゃんの友だち?」と聞いた。
「うん。幼稚園の時…からの友だち。アルベルト・悠里・リンドヴァルさん。それに、玄の友だちのお父さんなんだよ」
「へえーっ! お子さんいるの。幼稚園一緒ってことは、近所の人かな?」
「ええ。最近またこちらへ戻って来たので、どうぞお見知りおきください」
「いえいえ、どうぞこちらこそ。リンドヴァルさんね。俺は増田秀夫って言います。ここ、増田屋ね。どうぞよろしく、ご贔屓にね。いや〜、お客さんがあんまり男前なんで、モデルさんなのかなぁ、マコちゃんとはどういう知り合いなのかなぁ〜と気になっちゃったよ」
「気になりますか?」
アルベルトが疑問を含んだ声で聞いたので、秀夫は「だって、マコちゃんが連れて来る友だちは、みんな学者さんみたいな人が多いからねぇ」と笑った。
「どうせ僕の友だちは、み〜んな堅物でモテなさそうな同類ばっかりですよ。すいませんね。女の子連れて来た事がなくて」
真が拗ねたような声を出すと、秀夫は「女の子なんて連れて来たら、卓(すぐる)が大騒ぎするよ!」と苦笑いしながら止めてくれと肩を竦めた。
「スグル?」
アルベルトの疑問に真が答えるより早く秀夫がしゃべりだした。
「うちの一番下の弟でね、小さい時からマコちゃんによく面倒を見てもらったから、未だにマコちゃんがだぁ〜〜い好きなんだよ」
「秀夫さん、その変に伸ばす言い方、止めて」
真が赤くなりながら言うと、「だって、そうなんだから」と秀夫がニヤニヤと笑った。
「俺のすぐ下の妹が玄の母ちゃんなんだけど、卓とはどっちとも年が離れてたから、ほとんどマコちゃんと一緒に育ったんだ。家にいるよりお寺の境内にいる事のが多かったよね。父ちゃんが、いっその事そのまま寺に修行に出そうかと思ったくらい。それがさ、玄が生まれてからは、マコちゃん玄にベッタリだから、まあ、最初の頃は焼き餅焼いてすごかったんだぜ〜」
いつもはこんな余計なお喋りはしないのに、秀夫の口は止まらなかった。アルベルトは興味深そうな顔で相づちを打っていたが、これじゃあ二人でゆっくり話せないよ…と真が困っていると、厨房からエプロンをかけた青年が急いでやって来て、後ろから秀夫を怒鳴りつけた。
「兄さん! この忙しい時に油売ってんじゃないよ! 父さんだけじゃ、裏回らないんだからね!」
「ハイッ! ハイ、ハイ!」
弟に叱られた秀夫は大袈裟に身を縮めて、料理を運んで来た卓と入れ違いに大慌てで裏へと入って行った。少し離れた席の常連客がその様子を見て笑っていた。
「ごめんね。何か余計な話、してたでしょう? 忙しいのに、和(かず)さんが困って言いに来たんだよ」
確かにさんざん余計な事を言われていた卓は、ぶつぶつと文句を垂れながら真の頼んだ焼き鳥とサラダを出した。真が振り返ると和さんというらしい女性店員が、カウンターと座席の間を忙しなく往復して注文を受けていた。
「卓ちゃんも手伝ってるんだね。何か、ごめんね。こんな忙しい日に来ちゃって」
他の店にすれば良かったと真が後悔していると、卓は慌てて、
「そんな事ないよ! 今日はたまたま人が足りないだけ! 久し振りに来てくれてすごく嬉しいよ! だから気にしないで」と捲し立てた。
「それに、今日は休んだアルバイトの人の代わりだけど、俺、たまに手伝ってるんだ。高校卒業したら親父の店手伝おうと思ってるし。まだ先だけど、俺も仕出じゃなくて、何か飲食店やりたいと思ってるし」
「卓ちゃん、大学は?」
「行かない。お金ないもの。親父、年寄りなのに昼は仕出し屋やって、夜は兄貴の店手伝って。それでやっと食ってんのに、4年分の学費なんてとても…」
それを聞いて真は恥ずかしくなって下を向いた。真は一度もお金の苦労をした事がない上に、いい年をして働きもせず、当たり前のように親の金を使って、もう足かけ8年学生生活を続けている。
「高校生の卓ちゃんだって、そんなにしっかり考えてるのに、何か、申し訳ない感じ。僕って本当に放蕩三昧してるよね…」
父親にも自分で言ったけれど、改めてそうだと思うと情けなくなった。
「放蕩って?」
アルベルトが不思議そうに聞いたので、真は赤くなりながら「僕、大学院の学費、全部父に出してもらってるから…」と説明した。
「それは…」とアルベルトが言いかけたところに、「別にいいんじゃないの!」と卓の声が割って入った。
「気にする事ないよ。マコちゃんは当然その権利があると思うし、誰もそんな風に思ってないよ!」
「卓ちゃん…」
兄の秀夫によく似た精悍な面をくっと強張らせて力説する卓の剣幕に、アルベルトも呆気に取られたようだった。真は権利と主張する卓に余計情けなくなって俯(うつむ)いた。
「ハ〜イ! お待ちどうさま、豆乳鍋で〜す」
妙な節を付けて秀夫が豆乳鍋を運んで来た。はいは〜いと言いながら真の前に鍋を置くと卓に向き直って「ハ〜イ、お前も兄ちゃんの事言えませんね〜。洗い物が溜まってますよ〜。父ちゃん困ってまーす! マコちゃん、ゆっくりしてって!」と言うと、不満そうな顔をしている卓の肩を掴んで、ぐいぐい厨房へと引っ張って行った。
呆然とその様子を見ていた真たちの後ろから、今度は和さんがタレの入った器を運んで来て、ごゆっくりと可笑しそうに笑って立ち去った。
気まずい空気が流れる中、くつくつと音を立てる鍋を見ながら『少しもゆっくりできないよ〜!』と心の中で呻いたが、隣で「おいしそうだ。食べよう」と笑いかけてくれたアルベルトに救われる気がして、真も「うん」と頷いて箸を持った。
「真は愛されているんだね」
「えっ?」
アルベルトは慣れた手つきで真の器に肉や野菜をまんべんなく取りながら言った。
「彼らは君が大好きで、可愛くて仕方ないんだろうね。特に、卓くんか…。お兄さんが言ったように真が大好きって、顔に書いてあったよ」
「アルまで…止めてよ、そういうの…。そりゃ、二人とは仲が良いけど…。彼らは、僕に……」
真はアルベルトから器を受け取りながら困ったように言い淀んだ。確かにあの二人は自分を思ってくれている。だけど、それは自分に負い目を感じているからだ、とは言えなかった。
「ねっ、そんな事より、アルの話が聞きたいよ。引っ越してからどこへ行って、何してたのか教えてよ!」
わざとらしく話題を変えたけれど、アルベルトは気にした様子もなく別れていた20年の間の出来事を話し出した。
隣の組だったアルベルトと真は、クリスマスをきっかけに大の仲良しになったが、それからほんの僅かな楽しい時間を残して、アルベルト一家は九州の別な教会へと移って行った。その後、アルベルトは中学を卒業するまで九州で過ごし、高校は父親の故郷スウェーデンの学校へ進学した。一家で戻ったのではなく、アルベルトは単身で父親の実家に身を寄せて通学していた。
何か事情があったのかと聞くと、アルベルトは綺麗な箸使いで美味しそうに豚肉を食べながら、「何も」と笑った。
「敢えて言うなら、僕の体の中にあるもう一つの国を見ておこうと思ったから」
「スウェーデンって、どんなところ?」
「日本ではノーベル賞とか、福祉が充実している事で有名だけど、高校生の僕にそんなの関係なかったから、普通に治安もいいし、人も真面目だし、景色も街もそりゃあ綺麗で、観光するにはいい国だと思ったよ。あっ、そうだ! クリスマス! 僕も、あそこで初めて本物のクリスマスを体験したよ」
「どうだった?」
真が目を輝かせて聞くと、アルベルトはう〜んと勿体振ったあと、
「冬の楽しみはそれしかないって感じで、わくわくしたし素敵だった…けど、最初の年しか経験してないんだ」と申し訳なさそうに笑った。
「12月に入るともうクリスマス一色で、いろんな行事が目白押し。世界でも一番クリスマスが長いといわれてる国だからね。ミサに関しては多少違いはあるけど、内容はそう変わらない。牧師の話があって、賛美三唱があって、キャンドルサービスがあって…日本よりも賛美歌やオルガンの演奏が多くて、ちょっとしたコンサートみたいだったよ。
ただ、驚いたのは早朝ミサだった事。朝7時にやるんだよ。だから一番近所の教会へ行ったけど、それでも5時に家を出た。教会は古くて厳かで、装飾も美しくて素敵だったけど、とにかく寒くてさ〜。ミサのあと風邪引いて長いこと寝込んじゃって、日本には帰れなくなっちゃうし散々だった。それに懲りて翌年からクリスマス休暇に入るとすぐ日本に帰るようにしたから、結局一度しか見てないんだ」
真は両腕を抱えて寒がる真似をするアルベルトが可笑しくて笑った。
「いいなぁ。一度でもいいから見てみたい。羨ましいなぁ」
真がため息を吐くと、アルベルトは「ちゃんと写真を撮ってあるから、今度うちに来た時見せてあげる。もっと詳しく説明するからね」と例のウィンクをして見せたものだから、真の心臓は飛び上がった。
どきっとしたのを誤魔化すように「うわっ、本当? 行く、行く!」とはしゃいで言うと、アルベルトも嬉しそうに微笑んで話を続けた。
「冬は半端なく寒いから、寒さの苦手な僕には辛かった。建物の中なら薄着で平気なくらいどこも暖かいんだけどね。だから外出するのが嫌で、もっぱら読書をしていた。春はなかなかやって来ないし、白夜があるけど夏は短い。夏でも朝晩は上着がいるし、秋なんか素っ飛ばしてすぐに冬が来る。
そう、クリスマスの時期なんか、ほとんど太陽が見られないんだよ。もう、太陽と緑の野菜が恋しかったな。キノコはたくさんあるけど、野菜が少ないんだ。そんなに好きじゃなかったのに、食べられないとなると欲しくなるのが人間の性(さが)だね。だからか分からないけど、ベジタリアンが結構いるんだよ。それに…日本食の方が絶対に美味しい。もう、すぐにホームシックになった」
「ホームシックになったの? 食べ物で?」
真が可笑しそうに聞くと、「食は文化だからね」とアルベルトは片眉を上げて大袈裟に頷いた。
「とにかく、変わってるんだよ。例えば、木曜日に豆のスープとパンケーキを食べる習慣があって、パンケーキには名物のこけもものジャムをつけたり、他にもリンゴのジャムをつけたりするけど、こけももは別として、リンゴのジャムは食べられたものじゃないよ、あれ。
変わってると言えば、イギリス人なんて目じゃないくらいお茶の時間が多い。みんな甘い物が大好きで、主食よりお菓子を食べてる感じ。給食とか量が少ないと思ったら、それで栄養補給してるみたいなんだ。
性格的にはみんなおっとりしてるけど、高校の休み時間に、普通にタバコとか吸っててビックリしたよ。子どもの自主性を重んじてるらしくて、授業中以外は特に注意されないし、自由だったけど、僕には馴染めなくて、楽しみは6月から約2ヵ月半もある夏休みだけ。だって日本に帰れるからね」
アルベルトは滑らかに、次々とスウェーデンでの高校生活を面白可笑しく語って聞かせ、結局、向こうの文化とは馬が合わないから日本に戻って来たと締めくくった。
「まあ、その3年間でスウェーデン語を確実なものに出来たし、大学は外語大に入れたし、今はフリーで翻訳業が出来てるからね。無駄ではなかったよ」
「フリーって、自営業? すごいね」
「う〜ん。でも、別に看板を上げている訳じゃないし、翻訳事務所に登録しているし、ただ自宅で仕事してるってだけなんだけど。人づてで通訳の仕事を受けたりもするけど、スウェーデン人は殆ど英語が喋れるから、特に必要ないんだよね。複数の大学や出版社に伝があるから、それで何とか食べてる感じ。毎月かつかつだよ」
「それでも、すごいよ。一人できちんと葉月くんを育ててるんだから。尊敬する…」
心底感心して言うと、アルベルトは急に顔を曇らせて呟いた。
「きちんと、ではないよ…。殆ど両親に頼っているから」
「それは、だって、お祖父ちゃんとお祖母ちゃんなんだから、手伝ってもらっても、いいんじゃない?」
真は慌てた。なぜか葉月の話題に触れるとアルベルトの様子が暗くなる。真は、葉月や離婚したというその母親の話を聞きたかったが、さっきの話も丁度二人が出会っただろう大学の時の話を、上手く端折(はしょ)られた気がした。
再会した時、アルベルトはあっさり「離婚した」と告げたが、本当は相当堪えているのだろうか。真は胸の奥がチクリと痛んだ。
聞きたいのに、聞けない。隣で物思いに耽って口を閉ざしたアルベルトを窺うように見ていると、アルベルトは徐(おもむろ)に「そうだね」と微笑み、真の方へ向き直ると、「さあ、今度は真の番だよ」とじっと真の目を見つめた。
真はどきどきして、一昨日と同じ不思議な気持ちになった。見つめられて恥ずかしいのに目が逸らせないし、魔法にかけたらたみたいに逆らえない。それは今まで誰にも感じなかった感覚で、真はアルベルトが馬が合わないと言った、その半分の民族性がそう感じさせるのだろうかと思った。
お酒を飲んでいる訳でもないのに、かっかっと熱くなる顔を冷ますように、真は温くなったウーロン茶を一口飲むと、「あんまり面白い事もないんだけど…」と言いながらぽつぽつと自分の20年を話し出した。